抄読会<OFC> 20181220 増田

いよいよはじまりました抄読会・通称:ぐで会。
これから少しずつ紹介していきたいと思います。
今日のテーマはOrbitofrontal cortex:OFC
最近はAutismの社会的モチベーションに関わる部位としても注目を集めています!

私が読んだ論文は以下の通りです。
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Reduced orbitofrontal cortical volume is associated with interdependent self-construal. 
(Kitayama et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2017 Jul 25)

相互協調的自己観が強い人ほど、OFCのgray matterが減少している

特に『物体イメージ』の認知スタイルが強い人で顕著
という結果が示されています。 


相互協調的自己観というのは初めて聞きました。
そもそも、文化的に2種類の自己観があると言われているそうです。

相互独立的自己観 independent self-construal

自己を他者から独立した存在として捉える

欧米で優勢

個人が自己主張することが重要

相互協調的自己観 interdependent self-construal

自己を他者との関係性のなかで捉える

東洋で優勢

周囲と調和することが重要、自己主張は慎まれる
 

というような感じらしいです。

この研究は、

・被験者:健常人135人
・質問紙:Self-construal scale & cognitive style
・画像:3.0-Tesla Siemens MRI

を取って、質問紙と画像の関係を見ているという結構シンプルなものです。

筆者曰く、OFCはself-interestと関わっていて、self-interestが下がることで他人を優先して関わるような態度になるという仮説を立てています。ただし、最初からOFCの体積が小さいのか、Self-interestの抑制を強制されるような文化的環境にいるからOFCが小さくなるかは、不明だとか。ちなみに頭頂葉や側頭葉の皮質厚は、欧米人の方がアジア人よりも大きいそうです。

うつ病だと逆にself-interestが上がってしまっていそうですよね。和田先生がこのへんは詳しく教えてくれるかもしれません。
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こんな感じで不定期にゆるくやる予定です。
次回のテーマもOFC!

学会報告@ACNP

大学院生の尾久守侑先生が、
12月9日-13日にフロリダで開催された米国精神神経薬理学会(ACNP)にて、
ポスター発表をされました! 

統合失調症患者におけるグルタチオン濃度に関す
るメタアナリシスについてです。
こちらは、現在論文投稿中!

Kamiyu Ogyu, Sakiko Tsugawa, Yoshihiro Noda, Ryosuke Tarumi, Yu Mimura, Kazunari Yoshida, Yusuke Iwata, Muhammad Elsalhy, Minori Kuromiya, Shin Kurose, Fumi Masuda, Eric Plitman, Masataka Wada, Takahiro Miyazaki, Ariel Graff-Guerrero, Masaru Mimura, Shinichiro Nakajima; Glutathione levels in patients with schizophrenia: A systematic review and meta-analysis; American College of Neuropsychopharmacology 57th Annual Meeting, Hollywood, 2018.12.12 


大学院生のうちから海外で発表する機会が多くあるのは素晴らしいですね。

発表の写真があればよかったのですがあいにく手元にないので、
皆様で尾久先生の勇姿をあらん限り想像していただければと思います。

留守番

再来週の水曜日からいよいよ
抄読会をしようという話をしています。
ゆるい感じにしようという話にしているのですが
名称が
「ふなっしー会」

「ぐでたま会」

決まりません。

また今後抄読会の話題や論文は
こちらにもアップしたいと思います。
ちなみに次回のお題は「OFC(眼窩前頭皮質)」の予定です。
渋い。

ところで、12月8日にラボから一本論文がアクセプトされました!
 
TITLE OF ARTICLE: Clinical Effectiveness of Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation Treatment in Children and Adolescents with Neurodevelopmental Disorders: A Systematic Review 

JOURNAL: Autism 

ALL AUTHOR(S): Masuda, Fumi; Nakajima, Shinichiro; Miyazaki, Takahiro; Tarumi, Ryosuke; Ogyu, Kamiyu; Wada, Masataka; Tsugawa, Sakiko;Croakin, Paul; Mimura, Masaru; Noda, Yoshihiro 

 
発達障害を持つ小児に対するrTMS治療の総論です。
生物学的介入方法が非常に限られている疾患群だけに
非侵襲的で副作用の少ない(ほぼ同義?)rTMS治療は
今後の応用が期待されています。はずです。多分。
私がファーストなのですが本当に先生方には感謝しきりです。
これからもTMS-EEG研究やrTMS研究、
頑張っていきたいと思います。


中島先生たちはアメリカに学会に旅立っていますが
野田先生や宮崎先生たちと留守を守りたいと思います。


F.M 
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