ラボ内初の抄読会。
みんな簡単にやってくるという話でしたが、めちゃくちゃ手が込んでいておそるべしでした。

さて今回のテーマはOFCとのことですが、みんなよく分からないので私が"wiki係 = 簡単にそのテーマの全体像を説明する"役割を担わせていただきました。

そんな中私が読んだ論文は以下の通りです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Cortico-Striatal-Thalamic Loop Circuits of the Orbitofrontal Cortex: Promising Therapeutic Targets in Psychiatric Illness
Peter Fettes et al.  2017 Apr 27)

Review論文であり、OFCの機能、構造、疾患への影響を簡単にまとめたものです。
OFCはmedial (mOFC)とlateral (lOFC)の二つに分けられるため、それぞれに対して考察を加えています。
以下は詳細です。

・ OFCの機能については様々なことが言われている
- assignment of value: 価値の割り当て、恐らく物事の優先順位・価値判断をするということか?
- reward and reversal leaning: 報酬系の学習と、それを消去・変更する学習
- reward prediction error: 予測報酬誤差、予測した報酬と結果の誤差の認識
- fictive error:??自分が経験していない結果の誤差?
- emotional reevaluation, reappraisal: 感情の再評価
- generation of affective state: 感情の統合
- decision-making
- soicial cognition

・解剖学的な構造
- medial OFCとlateral OFCに大きく分けられる
- figure2の通りこの二つの領域は脳のほとんど異なる領域とconnectionを持っており、オーバーラップしてconnectivityを持つことはほとんどない

・structural connectivity
> mOFC
→ ventromedial caudate(VM caudate), ventral putamen, medial portion of the nucleus accumbens
→ ventral pallidum, substantia nigra(SN)
→ dorsomedial, ventroanterior, ventrolateral nuclei of the thalamus
→ mOFC (Fig, 1A)
>mOFCはそれ以外にもbasolateral amygdalaをはじめ辺縁系、皮質など様々な領域と相補的なconnectivityを持っている

> lOFC
→  (VM caudate)
→ medial portion of the globus pallidus interna(GPi), SN
→  dorsomedial and ventroanterior nuclei of the thalamus
→ lOFC(Fig A2)
IOFCはそれ以外に感覚系の領域やpremotorに関わる領域と強いconnectivityを持っている

・functional connectivity
-- mOFCとlOFCで被りは少ない
- mOFC:DMNと強い関係あり
- lOFC:cognitive regionと強い関係あり

・functional role
> mOFC
- 報酬とそれにそれに関連するsignal(reward learningなど)を関連付け記憶するのに重要な役割を果たす
-またprediction errorも担う(予測していた報酬と実際の報酬の差を認識し、次の行動に反映する)
- つまりmOFCは報酬の行動を継続することのメリットの把握を担っている
- emotional reevaluationも同様で、報酬を得られる行動に対しpositiveな感情を持つ際に関わる
- 同様のことがdecision makingでも言える

> lOFC
- 予測や報酬記憶の消去・再学習に重要な役割を果たす→罰に関連する
- 報酬を求める行動を継続するよりも、それに基づく行動を変更するのに役立つ
- emotional reevaluationも同様で、報酬に対する感情を変更する際に関わる
- 同様のことがdecision makingでも言える

・各疾患における変化
> MDD
- mOFCの過剰な活性と喜ばしい刺激に対する反応性の低下
- うつ病の治療によってmOFCの活性が低下する
- mOFCとdACCのconnectivityの低下
- 同様にlOFCの活性の増加と治療による低下が認められる
- OFCはamygdalaや視床下部ともconnectivityがあるので、それらの機能低下に伴う代償的な反応の可能性あり